2008年6月13日金曜日

20080612


紺野登という人の「知識デザイン企業 -アートカンパニー-」という本を読んだ。
最近手に取る本が何かとデザインというキーワードが入っていることが多いような気がする。


確かに、普段働きながらも、サービスとしてのデザインとか、そこに込める意味が軽視されているような気がしていてそれが、コンテンツ産業というサービス業をますます消費的、低価格にしてしまっているのではないかという疑問はある。


そんな思いから、なにか救いはないかなあと考えていた時に手に取った。
自分がなんとなく思っていたことが体系化されていて、うなずきながら読んでしまった。

結構ボリューミーだったので内容が分かるように、目次を書いておきます。

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○目次○
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第1章 創造経済とアートカンパニーの台頭
   1、創造的サイクルへの大転換 
   2、創造経営の旗手たち
   3、理念型としてのアート・カンパニーの出現

第2章 モノ(プロダクト)の概念が変化した
   1、モノづくりの「モノ」とは何か
   2、モノ(プロダクト)の概念を変える3つの軸
   3、総合力としてのデザイン

第3章 真摯さという資産
   1、品質経営の限界と創造経営への進化
   2、企業の資産としての「真摯さ」
   3、知識創造パラダイム・モデルへの転換
   4、真摯さから生み出されるイノベーション

第4章 知識デザイン、知をオーガナイズする
   1、アートカンパニーのためのデザイン
   2、「無名の質」を生み出す
   3、経営のデザインはどのように関わってきたか
   4、価値を生み出すトータル・プロセスとしてのデザイン
   5、変化するデザイン・サービス

第5章 知識デザインの「方法論」
   1、知識デザインに必須な2つの軸「体験的認知」と「内省的認知」
   2、体験的認知を起点とする「経験デザイン」
   3、体験的認知によるデザインに内省的認知を織り込むにはどうするか
   4、知識デザインの構図
   5、環境・文化的要素をデザインに取り込む
   6、綜合する言語「パタン・ランゲージ」
   7、知識デザインは人間知の総動員

第6章 アート・カンパニーの条件
   1、本当に望まれるもの
   2、新たな知識都市経済の時代
   3、組織の知的集積の質がイノベーションを駆動する
   4、アート・カンパニー実践のための思想
   5、アートカンパニーの10の条件

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非決定論的アプローチの台頭(正解が1つではないと考えるパラダイム)の中でクオリティムーブメント(工業経済)からクリエイティブムーブメント(知識経済)へと社会が変わっている。そして、創造生産性をもったナレッジワーカーの時代がやってくる。モノづくり、サービスにおける「モノのコト化」をキーワードに、企業、個人における創造性を知識デザインという点から掘り起こし、知識デザインを経営にどう取り入れていくのか(アートカンパニー)を考察し、最終的には10個の条件に落とし込むというのが簡単なサマリー。


モノやサービスには、従来の経済性や機能に加え、環境・社会的・文化的価値が重要になっていて、「時間」「主観」「社会」を満たすようなモノづくり、サービス提供が切望されている

(ex.)スティーブジョブス×アップル、ダイソン、カンペール、テルモetc



知識デザイン力が必要
・先見力:媒介的なデザインの力
・革新力:結合するデザインの力(経験と内省)
・形成力:形成するデザインの力(ソフト、ハードといった要素)



真摯さ 
→ 社会性や文化性の視点からそもそもの目的について考えること。
=どのような姿勢で、ユーザーの経験にかかわっていくのか、なぜそれをやるのか



個のレベルの知へのフォーカス



個と組織の相互作用によってさらに知識が創出される
デザインリーダーシップの重要性(全体俯瞰、未来志向の視点からのコーディネーション、ソリューション)



アートカンパニーへの10の条件

 1、社会との協創
 2、技術でなく人間、結合でなく綜合
 3、無名の質をデザインする
 4、エコキャピタル(自然資本+知識資本)の重視
 5、真摯さ
 6、組織として豊かな知を有する
 7、思いを持つ個人とこのネットワーク力
 8、伝統と文化
 9、活発なコラボレーションとそうした環境
10、可能性追求主義の戦略


なんか日本にそもそもありそうな概念なのに、日本の企業にあまりあてはまらないという状況におどろきました。真摯に取り組むと言うのは簡単ではないと思いますが、もう一度そもそもを考え直してみて、自分名hどんな経験が提供できるのか、「ちょうどいい」モノってなんだろうとかもっと問い続けていかないといけないなと思いました。


コモディティ化とかに興味ある人にはおススメです。
ロジカルシンキング大好きな人にはあまりささらないかもしれません。


なかなか進まないながろうのやりたいことリスト