読みたい本リストの中から、「3年で辞めた若者はどこに行ったのか -アウトサイダーの時代-」という本を読んだ。
目次、リードは以下のとおり。
すでに平成20年、いまだに多くの会社で昭和の時代から続く風習や決まり事、働き方が支配している。「若者はなぜ3年で辞めるのか?」でその状況を描いた著者が、辞めた後の「平成的な生き方」とは何なのかを指南する。
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○目次○
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第一章 キャリア編
昭和的価値観1 「若者のは、ただ上に従うこと」
昭和的価値観2 「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定していること」
昭和的価値観3 「仕事の目的は、出世であるということ」
昭和的価値観4 「IT業界は3Kであるということ」
昭和的価値観5 「就職先は会社の名前で決めること」
昭和的価値観6 「女性は家庭に入ること」
昭和的価値観7 「言われたことは何でもやること」
昭和的価値観8 「学歴に頼ること」
昭和的価値観9 「留学なんて意味がないということ」
第二章 独立編
昭和的価値観10 「失敗を恐れること」
昭和的価値観11 「公私混同はしないこと」
昭和的価値観12 「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」
昭和的価値観13 「酒は飲んでも飲まれないこと」
昭和的価値観14 「フリーターは負け組だということ」
昭和的価値観15 「官僚は現状維持にしか興味がないということ」
昭和的価値観16 「新卒以外は採らないこと」
昭和的価値観17 「人生の大半を会社で過ごすこと」
昭和的価値観18 「大学性は遊んでいてもいいということ」
昭和的価値観19 「最近の若者は元気がないということ」
昭和的価値観20 「ニートは怠け者だということ」
第三章 新世代編
昭和的価値観21 「新聞を読まない人間はバカであるということ」
昭和的価値観22 「左翼は労働者の味方であるということ」
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終身雇用制、年功序列制とった今までのパラダイムが変わってきている中で従来の価値基準を善とすることを著者は、激しく非難する。非難の仕方が割と苛烈なのでそこに本音があると勘違いしそうになるが、本書の本音はそこではない。
本書の本音は、「自分の目指すものが自分の言葉で語れるか?」という視点から、社会で「アウトサイダー」となった様々な個人の体験のインタビューをとっかかりに、正規、非正規雇用の問題に焦点をあて、自分を含んだ労働者がどうしたら正当な対価を得られるか、そのための手段、社会システム、環境を考えるということである。
中でも、2点耳の痛い話があった。
●「年功序列を基礎とした新卒採用至上主義」
年功序列型の会社システムの中で、新卒というのは、建前は「ポテンシャル採用」だが、本音は「もっとも採用単価が安い、システムにあてはめやすい人材」という位置づけである。
このリアリティは、新卒就業を逃してしまった個人は、中途採用のメディアで「既卒、未経験」という人材市場において全く価値のない人材として割り当てられてしまうというセーフティーネットのなさや、中途・派遣業界においては、仕事に値札が付いているというリアリティによく表れている。
●「椅子取りゲームでは、いかに椅子に座らせるかに頭を使うべきだけど、座れないなら座れないなりに幸せになる方法を考える人がいてもいい。」
これは痛かった。リクナビをはじめとした就職サイトはまさに椅子取りゲームだ。経営も、いかに椅子を増やすことを考えている。しかし、椅子に座るだけでは「幸せになれない」個人が増えている現状。そこを、「自分にあった企業」とか、「多様性」とか、「入ってからの成長」などといったあいまいな言葉を置き換えてしまうことの危うさを感じた。
格差社会において何がフェアなのか?
共生とは何なのか?
どう生きるのか?
どう時間を使うのか?
派遣社員と正社員の業務の区分けを明確にすること、仕事の対価を明確にすることなどをはじめとした、個人が組織だけではなく社会に対してコミットメントできる機会を増やしていくような社会の創出が望まれている。
ただ、終身雇用、年功序列が悪いのではない。それらは成長志向の社会の中で適切な社会システムだった。いいところもある。しかし、時代が変わってきているので、いいところはとりいれつつ、日本人にあった幸せ志向の社会システムを作らないといけない。
その流れの中で、これから変革が始まる大学、企業を踏まえて、新卒人材のハブとなっているリクナビは学生に何を提供できるのかそれを考えたい。
僕もなりたいものはあるけど、今は、これを考えることが楽しい。
終りが見えない、ながろうのやりたいことリスト
2008年6月14日土曜日
20080614
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