2008年4月13日日曜日
20080412
海部美和さんのパラダイス鎖国という本を読みました。
大枠は、日本が豊かになって昔ほど海外に興味を持たなくなって、価値創出が内向きで伸び悩んでいてこのままではやばい、もう一度外側を意識して考え方を変えていこう!というものですが、梅田望夫さんのウェブ進化論とかウェブ時代をゆくよりはちょっと鮮明さがないというか、それはきっとみんな分かってるよ、とどのつまりパラダイス鎖国とはなんだい?というような感じで話が進みます。
フラット化する世界とかブルー・オーシャン戦略の主語を日本人にして、内容を簡単にして、ウェブという要素をひとふりした感じ。
その中で目に留まったのは、日本人が取れる2つの選択肢というところ。(p110-116)
1、「果てしなき生産性向上戦略」2.0
2、試行錯誤戦略
1は今までのやり方、つまり日本が外国に追いつけ追い越せの姿勢で外国のものを模倣しブラッシュアップしてきた中で(生産性向上)出た価値を更に磨くということ。質の高いマイナーチェンジをしていくということ。
2は、みんなが来ると思っている当たりそうなものをみんなで一生懸命探すのではなくて、リスクとリワードを比較し、自分にしか見えないものを信じて突き進みイノベーション(フルモデルチェンジ)を起こすこと。
ゼロイチの議論にはならないと思うのですが、2に関しては日本人は本当に苦手ですよね。
なまじ1の効率化が得意なだけに、自分のやったプロセスが無駄になることを恐れてしまって、リスクの少ない選択をしがちになり、結果狭い範囲での過当競争を招いてしまう。
豊かになった日本では、いろいろなことを試せる余裕がある。
世界のフラット化によって日本の余裕はなくなっていくので、まだ余裕がある今のうちに新しい産業を生み出す試行錯誤戦略を取れるようになるための第一歩を踏み出しておくべきというのが著者の言い分。
個人的には、個がクローズアップされるようになって、どう生きるか、何を学ぶかということが本当に悩ましい気がします。どんなに情報が大量に選び放題で与えられたとしても、認知限界によって処理できる総量は変わらない。
とすると自分の知らない可能性を気づかせることができるきっかけメディア、そこからの情報選択をサポートするメディアというのが重要になってくるのかもしれません。
「よく生きる」というベネッセのビジョンが心に響く今日この頃です。
P.S
ちなみに著者が最後の方で、とりあえずやることが見つからなかったら、全世界の人とコミュニケーションできるから英語を学んでおこうというところに落としどころを置いていたのが本質的でなくて残念でした。きっと、言語の問題は機械によってクリアされてしまう問題なので、2の戦略を全うするには適切ではないと個人的には思います。
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